頭の片隅に表れる死にたい魚

本当に奇妙な話なのだが、
今迄、人生の中で、焦がれて焦がれて、
やっと手に入れた自分の欲しいもの、場所、瞬間を、手に持っているときすら、やっと掴めているときすら、私は死にたいと思っているんです。
日常的に欲を吐いて、奇跡的にやってきた快感を握りしめて、これ以上良い状況はないんじゃないかと思うのに、目線だけが遠く暗い方へ向かう時がある。

私なんか死んだ方がマシだ。
死にたい。
死んだ方がいい。
素早い魚のように、その言葉が頭の片隅を泳いでいく。
その魚の影を、姿を見つけるまで探してしまうのは、長年やってきたものだから、もはやただの癖になっている。
そうして握っているものの価値を忘れる。

色んな事を感じて、考えて、悩んで、最終的に必要なのは、もう年月でしかないと分かった。
加齢で、その魚が泳いでいることに気がつかなくなることだけを、ずっと待ち望んでいる。